借金問題

事業者が破産した場合の従業員の給料

2013.09.27

財団債権

会社が破産し、従業員の給料や退職金が未払いの場合、労働者の生活保障の必要性の観点から、一部が財団債権とされており、それ以外は優先的破産債権となります。これらは、一般の破産債権に優先する債権となります。
財団債権となるのは、①給料のうち破産手続開始前3カ月間のもの(149条1項)と②退職金のうち退職前3カ月間の給料の総額と破産手続開始前3カ月間の給料の総額のいずれか多い方の額に相当する額(149条2項)です。
給料・退職金のうち財団債権に該当しない部分や、解雇予告手当など、財団債権に該当しないものが優先的破産債権となります。

労働者健康福祉機構の未払賃金立替払制度

また、未払賃金立替払制度を利用できる場合があります。
未払賃金立替払制度は、会社の倒産によって毎月の賃金や退職金が支払われないまま退職した労働者に、事業主に代わって、国が未払賃金の8割(年齢に応じた上限あり)を立替払いする制度です。
立替払いを受けるためには、次のすべての要件に該当する必要があります。
≪要件≫
  1. 事業主が、労災保険の適用事業場で、1年以上の事業活動を行っていたこと
  2. 事業主が倒産したこと
  3. 請求者が、労働基準法上の労働者であること
  4. 請求者が、破産手続開始等の申立日等の6か月前の日から2年間に退職したこと
  5. 定期賃金、退職金が未払いであること(総額2万円未満は対象外)
  6. 退職日の6か月前から立替払請求日の前日までに支払期日が到来していること
  7. 破産手続開始決定日等の翌日から2年以内に立替払請求が行われること
なお、賞与、その他臨時的に支払われる賃金や解雇予告手当等は、立替払いの対象外です。
≪立替払の上限≫
退職日における年齢

未払賃金総額限度額

立替払いの上限額

45歳以上

370万円

296万円(370万円×0.8)

30歳以上45歳未満

220万円

176万円(220万円×0.8)

30歳未満

110万円

88万円(110万円×0.8)