ハラスメント対策

ハラスメント対策

現代社会の職場では、セクハラ、パワハラ、マタハラ、アカハラ(アカデミック・ハラスメント)など様々なハラスメントが発生しており、深刻な社会問題となっています。

ハラスメント対策の重要性

ハラスメント行為は、集団内において、役職、性別、仲間関係などを介して何らかの「力」関係が存在する場合、そのような力関係を利用・濫用して、発生するものであり、企業規模や業種に関係なく、どのような職場にも発生するリスクがあります。

実際にハラスメント行為が発生した場合、使用者が対応を誤れば、被害がさらに拡大し、取り返しのつかない状況になることもあります。逆に、使用者が事態に適切に対処し、再発防止策を講じることができれば、従業員が安心して働くことができる職場に変わることができるのです。ハラスメント対策は、終わりなき改善の連続であり、トップが毅然とした態度で実施する必要があります。

福井スカイ法律事務所では、豊富な企業法務の経験に基づき、使用者がハラスメント行為を把握した場合に、取るべき対応について、実践的なアドバイスをすることができます。ぜひ当事務所をご活用ください。

ハラスメント行為の責任及び影響

ハラスメント行為が行われた場合、被害者である従業員は、不快感・嫌悪感にとどまらず、恐怖心から職場に行くことが怖くなり、うつ病等の精神疾患に罹患してしまうことがあります。その結果、休職や退職を余儀なくされるなど、社会的地位や生活の糧を失う場合もあります。

加害者である従業員は、その行為が違法行為に該当する場合は、加害者は民法上の不法行為責任を負い、被害者に生じた損害について損害賠償義務を負います。
また、その行為が暴行罪や傷害罪など刑法の構成要件に該当する場合は、刑事上の責任を負うことになります。

さらに、当該行為は企業における懲戒処分の対象となり、昇進等の将来性に多大な影響を与えることになります。

職場で発生したハラスメント行為については、企業も民法上の使用者責任を負うことになります。

また、企業は、労働契約に附随して、労働者が働きやすい環境を保つように配慮すべき義務(職場環境配慮義務)がありますので、被害者である従業員に対して債務不履行に基づく損害賠償責任を負うこともあります。

さらに、最近では、上司の暴行や暴言の音声や映像がマスコミ報道やインターネットに公開されることもあります。このような事態になれば、企業の社会的信用が失墜することになりかねません。

ハラスメント防止体制の整備

企業が、ハラスメントを容認しないことを宣言し、ハラスメント禁止規定を就業規則に設けることはハラスメント対策の基本中の基本です。
なお、セクハラについては、男女雇用機会均等法に基づき、就業規則等に厳正に対処する旨の方針や対処の内容を規定することが義務づけられています。
就業規則等の規定を設けても従業員がこれを守らなければ意味がありません。企業としては、日頃からハラスメント研修や従業員同士のミーティングを実施し、ハラスメントに対する理解を深める方策を実施することが大切です。
ハラスメント行為が発覚する端緒は、被害者や目撃者からの相談がほとんどです。企業は、被害が生じた場合にすぐに相談できる体制を整備しておく必要があり、相談窓口を設置してこれを従業員に周知しておくことが重要です。
相談したことによって、被害者に二次被害が生じることはあってはならないことであり、相談窓口は、外部の独立した通報窓口(いわゆるヘルプライン、ホットライン)とすることが従業員の安心感にもつながります。当事務所では、顧問先企業の通報窓口機関としての業務も対応しておりますので、ご検討ください。

事実関係の調査

企業がハラスメント行為を把握した場合、迅速かつ適切な事実調査をする必要があります。

事実調査は、被害者本人の意向を確認しながら、手続を進めるのが原則です。

まずは、被害者から具体的事実を可能な限り詳細に聞き取り、聞き取った内容は記録を作成して保存し、厳正に取り扱う必要があります。 また、行為者から事情聴取を行う場合、行為者に守秘義務の遵守を約束させたうえで、事実関係や被害者の言い分については、被害者から事前に了解を得た範囲で、事情聴取のために必要な最小限度の範囲の事実にとどめて伝えるようにすべきです。

懲戒処分

調査の結果、ハラスメント行為が確認された場合は、事案の内容に応じて、配置転換、行為者の謝罪、被害者の労働条件への配慮等を検討することになります。

さらに、企業としては、行為者に対し、就業規則に基づいて懲戒処分を行う必要があります。労働契約法は、懲戒処分が、労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、懲戒が無効になると規定しています。このように、懲戒処分を行うに当たっては、処分の相当性・妥当性が要求されており、合理性を逸脱することのないよう過去の処分事例や判例に照らして慎重に検討する必要があります。