最近、全国の法務局から、長期間相続登記がされていない土地の推定相続人に対し、「長期間相続登記がされていないことの通知(お知らせ)」
と題する文書が送付されています。
福井の法務局からも送付されており、当事務所にもこの通知が届いた方からのご相談もお受けしております。
近年、土地の所有者が亡くなった後、相続登記がされることなく長期間が経過し、土地の所有者が不明になっている土地が増えており、社会問題となっています。
そこで、このような事態に対処するため、「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」が施行され、長期間相続登記がされていない土地について、登記官が法定相続人を探索し、職権で、法定相続人等に登記手続を促すなどの制度が設けられました。
そして、調査の結果、長期間にわたって相続登記が未了の土地が判明した場合に、上記の文書が送付されるのです。
お知らせが届いた場合の対応について
- 法定相続人情報一覧図を入手
法務局からの通知には、細かい事情は記載されておらず、どういう相続関係に基づいて自分宛に通知が来たのかわかりません。
まずは、法務局に赴いて法定相続人情報一覧図の交付してもらいましょう。
この書面は、無料でもらうことができます。
これにより、被相続人の氏名や自分との関係が把握できます。
- 相続登記をする
令和6年4月1日から相続登記が義務化されました。
不動産を取得した相続人は、取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならなくなりました。
相続登記をする前提として、法定相続人らで遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成する必要があります。
土地を取得した相続人が法務局に相続登記の申請を行います。
- 相続放棄の検討
相続人は、自己ために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に、相続放棄をしなければなりません(民法915条)。
長期間相続登記がなされていないために通知が届いたのですから、被相続人が亡くなってからは、何十年も経っていることが多いでしょう。
その場合でも、法務局からの文書によって初めて相続の事実を知ったのであれば、通知が届いてから3か月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述をすれば、相続放棄が認められる可能性が高いと思われます。
当事務所で対応した事案は、90年以上前に亡くなった被相続人に関する通知が届きました。当然のことながら、相談者は、被相続人のことはまったく知らず、対象となっている不動産についても存在すら知りませんでした。
相談者は、熟慮の結果、相続放棄をすることにし、当事務所が代理人となって相続放棄の申述を行い、無事に認められました。
当事務所では、相続放棄、遺産分割、相続登記など相続全般の手続を行っております。どの手続を選択するのがよいかも含めてアドバイスができますので、是非ご相談ください。